ビジネスを成功させるために知財戦略がある。 アステック特許事務所 代表 弁理士 松山裕一郎

ビジネスを加速させる

  ビジネスを語るうえで欠かせないものとは何だろうか。多くはヒト・モノ・カネを連想するだろうか。確かに、これらは事業の実現性を担保してくれる最重要事項といえる。しかし、ヒト・モノ・カネがあったとしてもビジネスは始まらない。ビジネスに繋がる着想があってこそ全てが始まるのだ。それはアイデアという名の知的財産。車、家電、携帯電話、嗜好品に至るまで、私たちの周りに溢れるあらゆるものが知的財産のかたまりだ。つまり、ビジネスを加速させ成功に導く鍵は知的財産をいかに活用するかにあるといっていい。
 しかしながら、中小企業において知的財産の活用がまだまだ不十分だと松山裕一郎さんはいう。その理由について聞いてみた。

 ――中小企業において知的財産の活用が不十分である理由をお聞かせください︒

 はい。もっとも大きな理由は事業戦略から知財戦略が欠落しているためだと思います。なぜ欠落しているかといえば、知財戦略の重要性や事業戦略と知財戦略とのリンクのさせ方を“知らない” からです。知的財産は事業の核心であるにもかかわらず、知財戦略の内容や知財戦略と事業戦略との関係は一般的ではありません。そもそも「知的財産とは何か」、「知的財産の活用方法」についての理解も不十分でしょう。そのような状況において、知的財産の「重要性」を「事業との関わり」において説明し、道先案内してくれる存在が非常に希少であり、企業家の身近にいないことも理由の一つでしょう。このことについては、私たち弁理士の反省すべき点だと思います。
 特にいえることは、事業戦略におけるマーケティングと知財との関係についての認識不足です。今の日本はかつてのようにいいものを作ればモノが売れて事業が成功するというような時代ではありません。マーケティング活動と知財戦略とをリンクさせて技術を売れる商品に結び付ける活動をしなければならない時代なのです。大企業はしっかりと知財戦略を策定し実行していると思いますが、かたや多くの中小企業は知財戦略の確立に出遅れています。その結果、大企業に、例えば自社の事業に関する特許権を先回りして取得されてしまい、他社の特許権で自社の事業がコントロールされてしまう場合すらあるのです。

 ――確かに事業を行ううえでマーケティングや資金繰りなどの方法は情報がたくさんありますが︑知財戦略の情報にはなかなか到達できませんよね︒中小企業の知財戦略を前に進めるにはどうしたら良いでしょうか︖

 ひとつに、知財の専門家たる私たち弁理士の奮起が期待されます。弁理士は、非常に複雑な知的財産の権利化等に関しては十分にその役割を果たしていると思います。しかしさらに一歩進んで、企業のビジネスを理解し、事業戦略を理解し、知財戦略の策定と実行に尽力できるスキルを身に付けることで多くの企業の知財戦略を前に進めることが必要ではないでしょうか?

 ――松山さんが代表を務めるアステック特許事務所ではどういった取り組みをしていますか︖

 知財戦略の策定や実行が不十分な企業に対してですか?基本的には企業のニーズが何かを考え、ニーズに合ったサービスを行うようにしています。一言でいうと、企業のビジネスを加速成功させるための知財戦略策定のお手伝いをしています。そうすると必然的に企業の事業戦略からかかわることが多いので、マーケッティングをはじめとして経営戦略についての勉強は欠かさないようにしています。事業の伸びていく部分をどうピックアップしどう育てるか、如何にして利益が出るようにするか、企業と一体となって考えて、知財戦略を策定し、必要に応じた権利の取得化に結び付けています。これは私自身の目標なのですが、かかわった企業をIPOにまで成長させたい、そう願ってやみません。

 ――ありがとうございます︒松山さんのような専門家が増えれば企業︑ひいては日本全体にとってよりよい未来が開けますね。話は変わりますがご趣味などは︖

 大の落語好きでして。時間が出来たときは寄席に入り浸っています(笑)頭がリラックスしていいですよ。ぜひ一度見に行ってみてください。

 ――なんと︕落語とは意外でした。行ってみます︕ 

アステック特許事務所
代表 弁理士 松山裕一郎
東京理科大学大学院イノベーション研究科技術経営専攻(MOT)修了。技術経営修士。
神奈川大学工学部応用化学科卒業後、日本初のオイルシールメーカーであるNOK グループ入社。その後、1990 年特許事務所に入所。
2007 年アステック特許事務所開設、代表弁理士就任。
特許事務所入所以来、補助者時代から数えて多数の特許出願案件に携わる。
分野も多岐にわたり、回路や強電分野を除きほとんどの分野の出願を経験、特に得意とする分野は、化学(有機化学、高分子化学)、日用品(紙おむつ、生理用ナプキン、洗剤用容器等)、各種化学応用製品、製造機械、化学プラント、構造物、土木工法等、他の事務所では対応が困難な化学と構造物との中間分野を得意とする。
平成23 年度特許庁「中小企業等知財支援施策検討分析事業」のワーキンググループメンバー。
「広域経済産業局編2009 年関東圏の中小企業に学ぶ!知財コンサルティング活用事例集」関東、2011 年(一部執筆) 首都大学東京産学公連携センター顧問弁理士、非常勤講師。 神奈川大学工学部非常勤講師。

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