アップルとの交渉はタフ!?【知財コラム】知的財産奮闘記

シリコンバレー知財記

 アメリカ合衆国の西海岸に位置するシリコンバレーは、アップル、facebook、Googleなどを始めとする有名IT企業の一大拠点である。これらの有名IT企業は、事業の急成長により、特許紛争・渉外のケースは多数抱えており、米国知財紛争のメッカと言っても過言ではない。そこで、本連載では、シリコンバレーの企業を紹介し、今月号ではアップルについて御紹介する。

リーガルテクノロジー

 弊社が提供する米国特許評価システム「Patentpia」にて、アップルを分析した。このシステムでは、過去の訴訟履歴、ライセンス履歴、特許の書誌情報、マシーンラーニングを利用した特許内容をテキスト分析等により、約500以上のパラメータを用いて、特許の活用可能性に関する評価値を出力する。平成28年2月21日時点において、アップル社は、約13624件の米国特許を保有している。一方、アップルとよく比較されるソニー社は、約43300件であり、アップルの特許保有数は決して多くはない。米国特許で権利活用できる可能性の高さを示す最高位であるSランク特許については、アップル社は、約249件で、全体の評価点の平均は51.9点であり(図1参照)、ソニーはSランク特許が60件であり、平均は、26.98点であった(図2参照)。

図1

 アップルは新興企業ではあるが、知財活用できる可能性のある特許を保有しているか否かという観点において、ソニーを圧倒的に凌駕していることがわかる(弊社システムの独自評価であり、絶対評価ではありませんので、ソニー関係者の方において不愉快な思いをさせてしまいましたら、申し訳ございません)。

図2

 また、アップルは、優れた特許を積極購入し、過去に約3847件を購入していることから、保有特許の全体の約28%は買入特許で構成されている。
 しかしながら、アップルは、2015年だけで米国訴訟を約57件(うち、アップルが原告は2件)提起されており、多くの企業、NPEから攻められているのも特徴的である。
 しかし、アップル社との知財交渉の経験を述べると、大変タフなものであった。全米から選ばれた優秀な知財担当者、弁護士が相手となり、特にライセンス、特許譲渡によって、アプローチ方法を変化させるの
が特徴的である。
 なお、今後シリコンバレーを訪問する方のために付言する。米国でも有数の富裕層地域ではあるものの、アメリカの治安に関しては油断せず、貴重品の管理を徹底することをお勧めする。私と米国弁護士は、アップル本社前の駐車場で車のガラスを破壊され、置き引き窃盗事件のアクシンデントにあった。交渉後を含めると、どのLawyerよりも大変タフなものとなってしまった。(次号に続く) 

図3

図3 交渉前にファイティングポーズで記念撮影後に窃盗事件

知的財産奮闘記 著者プロフィール

特許事務所 白坂パテントパートナーズ 所長 白坂 一
弁理士 (登録番号16132)
防衛大学校卒
1級知的財産管理技能士(旧知財検定1級)
国家試験 知的財産管理技能検定 技能検定委員
同台経済懇話会 各期代表
小田原箱根商工会議所会員
銃剣道初段

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