英雄イーロンマスク 【知財コラム】知的財産奮闘記

シリコンバレー知財記(2)

 アメリカ合衆国の西海岸に位置するSilicon Valley は、アップル、facebook、Google などを始めとする有名IT 企業の一大拠点である。今月号では、そのIT 企業の中でも、電気自動車で成功したテスラーモーターズについて紹介する。

テスラーモーターズの知財評価

 弊社が提供する米国特許評価システム「Patentpia」にて、テスラーモーターズを分析した。このシステムでは、過去の訴訟履歴、ライセンス履歴、特許の書誌情報、テキスト分析を利用した特許内容をテキスト分析等により、約500以上のパラメータを用いて、特許の活用可能性に関する評価値を出力する。平成28年4月3日時点において、テスラーモーターズ社は、約244件の米国特許を保有している。米国特許で権利活用できる可能性の高さを示す最高位であるSランク特許については、テスラーモーターズ社、1 件で、全体の評価点の平均は55.36点であり(図1参照)、2010年より登録特許を取得しはじめており、特許活動の歴史は浅く、極めて特許の数は少ない。

図1 テスラーモーターズ社の特許分析

 テスラーモーターズ社は新興企業ではあるが、電気自動車というあらゆる技術の集積物であることから、さぞかし知財訴訟が多いと思う方が大変多いと思うが、現時点で起こされている訴訟は、2013年の2件、2014年の2件の計4件と意外と少ない(図2参照)。

図2 テスラーモーターズ社の知財訴訟歴

英雄イーロンマスク

 ご存知の方も多いと思うが、テスラーモーターズの車は、1000万円以上と大変高額である。知人のシリコンバレー在住の米国弁護士が、購入したとのことで、搭乗させて頂いた。とても大きな17インチのタッチスクリーンは、印象的であり、車のほとんどの機能がこのスクリーンで制御できる(図3参照)。さらに、運転手に応じて、表示画面などが変わることから、家族ごとに、画面内容を変えることもできる。

図3 大きなタッチスクリーン

 個人的には、これらのインパクトの強いスクリーンを除けば、乗り心地や車内の内装は、トヨタのレクサスやBMW などの方が優れていると思った。一方で、シリコンバレーでは、テスラー車がとても売れている。知人の弁護士によると、イーロンマスクは、多くのベンチャー企業で成功し、電気自動車でも成功、現在は宇宙ビジネスに挑戦していることから、アメリカでは未来を創る男として、英雄として扱われているとのことであった。また知人曰く、小学校の息子さんの授業で、イーロンマスクは、世界を救う男であるということを習い、息子からテスラーの車を「買って、買って」とお願いされたとのことである。

 英雄だからこそ、知財訴訟を仕掛けてくる企業は少ないのかなーっと安易に思ってしまうぐらい熱狂的であった。
 なお、テスラー社は、テスラーの所有する特許を侵害していても(電気自動車または関連機材に限定)、訴訟を起こさないという誓約を掲げており、もし、テスラーに権利行使をしてくるようであれば、同等の条件にはできないという、紳士的な壁を設けていることを付言する(詳細は、テスラーモーターズの「Patent Pledge」参照)。

図4 知人の米国弁護士のテスラー車の前で記念撮影

知的財産奮闘記 著者プロフィール

特許事務所 白坂パテントパートナーズ 所長 白坂 一
弁理士 (登録番号16132)
防衛大学校卒
1級知的財産管理技能士(旧知財検定1級)
国家試験 知的財産管理技能検定 技能検定委員
同台経済懇話会 各期代表
小田原箱根商工会議所会員
銃剣道初段

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