中央省庁の 地方移転計画と特許庁【知財コラム】知財よろず研究所

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特許庁が地方移転?

 昨年あたりから、巷でも話題になっている中央省庁の地方移転。パテナビ読者の皆様にとっては、身近な特許庁の行方が気になっていることと思います。これほど思い切った改革案ですと、どれほど現実性があるのか想像が難しいですが、どのように進展するのか注目されます。マスメディアの報道内容を見てみると、省庁は基本的に国民の税金で運営されているだけに世論の風当たりが強いようで、移転賛成派が多数のように報じられるケースが多いようです。特許庁では様々な手続きがオンライン化されていますので、これを理由に、地方移転の障壁が比較的低いのではと考えている方も少なくないようです。私も東北出身の一個人として地方活性化につながる省庁移転は歓迎したいところですが、果たして、どの程度現実性のあるのでしょうか。

特許庁移転がもたらす様々な影響

 省庁移転の適否について議論が進められているなか、先日、当事者の一人である経済産業相は、記者会見上で、特許庁の地方移転について否定的な考えを早々に示しています。これは、なぜでしょうか。
 前述のように特許庁では手続きのオンライン化が進んでいるため、地方移転と相性がよいような印象を持たれるのも、あながち間違いとは言えません。しかしながら、その一方で、昨年から始まった異議申立制
度や面接審査のように、オンライン上では対応できない手続きも意外と多く残っているものです。
 また以前は、特許庁に出願すると審査期間がとても長かったのですが、近年はかなり改善されています。商品サイクルが早くなっている現代において、これはとても大きな功績と言えます。これもまた、特許庁
が一部業務を外部に委託したり、他国の特許庁との連携を深めることによって、審査結果の相互利用等によって改善してきた結果でもあります。特に多国間の連携については、近年、各国の制度上のギャップを埋めるためにも、職員同士の交流も活発に行われている現状があります。
 このような事情を考えると、特許庁の場合、国内外の様々な関係機関との連携を維持していくためにも首都圏に存在していることのメリットが、他の省庁に比べて大きいように思われます。これはあくまで個人
の意見ですが、これからどのような進展になっていくのか注目したいところです。

特許庁

特許庁が地方移転?

知財よろず研究所 著者プロフィール

SSIP 誠真IP特許業務法人 弁理士 ジュニアパートナー 渡邊 裕樹 さん(理学修士)
【経歴】東京工業大学大学院 理工学研究科卒業(物性物理学専攻)
【職歴】専門商社に勤務後、大手国内特許事務所を経て現職
【業務内容】機械・制御・電機分野の特許権、著作権が専門
【趣味】ギター・ドライブ

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