アジア市場の主役は、誰!?【知財コラム】知財よろず研究所

知財よろず研究所(知財コラム)

東京モーターショー盛況、その裏側で

 先日、国内最大級の自動車イベント「東京モーターショー」が盛況のうちに幕を閉じました。今年で第44回を数える同モーターショーは、かつてアジア最大の規模を誇っていたものの、長引く不況や中国の台頭によって規模縮小が続いていました。ここに来てようやく近年のアベノミクスの成果もあってか東京モーターショーにも賑わいが戻りつつある、というのが一般的なイメージかもしれません。ところが、90年代にモーターショーを華やかに賑わせていた一部の欧米自動車メーカは依然として東京モーターショーへの出展を控えているのも見逃せません。お隣の中国のモーターショーを覗いてみると、中国の経済成長の減速が懸念された今年でさえ、出展メーカ数やワールドプレミアの多さに驚 かされます。このように中国の勢いが鈍化しているにも関わらず注目度が衰えない状況を見ると、アジア市場の中心が中国であるという認識は一時的なもので済まず、定着しつつあると言えます。

ブームではなく、いよいよ本物!?

 中国の台頭は、知財分野においてもこれまでも散々注目されてきましたが、一時的なブームかもしれないという疑念が払拭しきれなかった方も少なくなかったのではないでしょうか。かつて日本の特許出願数は、米国に続く第2位の地位を長年維持していましたが、いまや中国は米国をも抜き、3年連続第1位となっています。中国の台頭が本当に一時的なものであれば、今年のように成長減速が懸念された際にバブル崩壊的に急激に冷え込むことが予想されますが、実際には、そのような顕著な変化は見られません。これは、知財分野でもアジア市場における中国の地位が確固たるものになりつつあることを意味しているのではないでしょうか。実際、欧米の知財関係者とディスカッションしてみると、 中国への注目度は依然高いままのようです。
 これまで典型的な特許事務所の権利化業務は、内内業務(国内出願人が日本国で権利化する際の代理業務)、内外業務(国内出願人が外国で権利化する際の代理業務)、外内業務(外国出願人が日本国で権利化する際の代理業務)の3本柱が中心でした。なかでも外内業務は比較的利益率が高く、事務所経営上も大きなポジションを占めていました。しかし、このようにアジア市場における日本のポジションが中国に取って代わるとなると、世界的に見て日本の魅力が相対的に低下し、将来的に外内業務が大きく減少する可能性があります。そうすると、一部の特許事務所にとっては、業務の根本的な見直しが必要になるかもしれません。

 ここにきて、ようやく国内景気が戻りつつあることが報じられることは確かに喜ばしいことですが、日本のグローバルなポジションは、以前に比べると確実に変化していると言えます。上述の自動車業界における動向は、このような環境変化がいよいよ表面化してきたという見方をしても面白いかもしれません。

知財よろず研究所 著者プロフィール

SSIP 誠真IP特許業務法人 弁理士 ジュニアパートナー 渡邊 裕樹 さん(理学修士)
【経歴】東京工業大学大学院 理工学研究科卒業(物性物理学専攻)
【職歴】専門商社に勤務後、大手国内特許事務所を経て現職
【業務内容】機械・制御・電機分野の特許権、著作権が専門
【趣味】ギター・ドライブ

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