補助金制度の活用 (~中小・ベンチャー企業の外国における知的財産活動に追い風~)【知財コラム】知財よろず研究所

知財よろず研究所(知財コラム)

 「外国特許はお金がかかるので、うちは・・・」。中小・ベンチャー企業の皆様は大企業に比べると事業規模が小さい分、外国での知的財産活動に対してハ
ードルの高さを感じがちです。しかし結論を急ぐ前に、近年、中小・ベンチャー企業を対象に外国出願等の補助制度が大幅に強化されているのをご存知です
か?補助の対象要件の緩和に加え、補助金額も大幅に拡大されています(下記表を参照)。

 2015年6月には、政府の知的財産戦略本部は知的財産推進計画2015を決定し、本部長である安倍晋三首相は「高度な技術、豊かな文化コンテンツ
など我が国の知的財産を活用し、国家競争力を高め、成長を確かなものとするよう政府一丸で知財戦略を進めていく」と述べています。そして、(1)地方に
おける知財活用の推進(2)知財紛争処理システムの活性化(3)コンテンツや周辺産業の一体的な海外展開――の3本柱が掲げられました。このように、中小
・ベンチャー企業の海外での知的財産活動は、国策としても推進されており、今後ますます充実していくと思われます。

 補助制度は様々な事業者が独自の要件のもとに運営しており、たびたび変更もあるので、把握が容易ではありませんが、中小・ベンチャー企業にとって強
力な味方になります。しかしながら、どの制度も申請しなければ適用がありませんので、もしこれらの制度を知らないままにコスト的な理由だけで海外での
知的財産活動を諦めているのであれば、十分に検討の余地があります。

 これまで、海外における知的財産活動は、資金が豊富な大企業が占める割合が多いのが現状でした。しかしながら、これらの制度の充実によって、今やハ
ードルはかなり下がってきていると言えるでしょう。

 以下は、中小・ベンチャー企業を対象とした外国における知的財産活動に関する代表的な補助制度の一例です。

  審査請求料・特許料等の軽減措置
概要 産業競争力強化法によって、中小・ベンチャー企業に対する軽減措置を拡充。具体的には、①対象要件の緩和(赤字の限定撤廃)、②軽減対象に国際出願(PCT調査手数料、送付手数料、予備審査手数料)を追加、③減免額を従来の半額から2/3に増大。
留意事項 対象要件が複雑なので、特許庁ホームページの簡易判定を利用することをオススメします。対象要件に合致しない場合、国際出願については減免を受けられませんが、国内出願については従来通りの半額免除を受けられる可能性が残されています。

 

  中小企業知的財産活動支援事業費補助金(中小企業等外国出願支援事業)
 概要  既に国内出願を行なっており、採択後に特許(PCT出願のみ)、商標(マドプロ出願)、意匠(ハーグ出願)を予定の案件について、外国特許庁への出願料、国内・現地代理人費用、翻訳費等の1/2(上限:特許の場合150万円/件)を補助。
 留意事項  補助金事業者によって応募前の国内出願に対して十分な特許性が認められる必要あり。初期費用は自己負担(補助金事業者の審査を通過した後、国際出願をしたのちに必要な提出書類をもとに補助金額が決定・交付)。1企業に対する補助金額の総額上限が300万円の制約あり。
 補助事業者  中小企業等支援センター、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)

 

  模倣品対策支援事業
概要 海外で知的財産権の侵害を受けたときに、調査や権利行使にかかった費用の2/3(上限400万円)を補助。
留意事項 対象国において知的財産権(特許権・実用新案権・商標権・意匠権)のいずれかを取得していることが前提。
補助事業者 独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)

知財よろず研究所 著者プロフィール

SSIP 誠真IP特許業務法人 弁理士 ジュニアパートナー 渡邊 裕樹 さん(理学修士)
【経歴】東京工業大学大学院 理工学研究科卒業(物性物理学専攻)
【職歴】専門商社に勤務後、大手国内特許事務所を経て現職
【業務内容】機械・制御・電機分野の特許権、著作権が専門
【趣味】ギター・ドライブ

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